※川柳などとの境界があいまいです。
「停戦」を親露派も言う万愚節
連れ去られ戻らぬ子たちこどもの日
雑草も二酸化炭素吸い茂る
石炭紀の遺産食い冷房強に
夕焼けの果ての大陸戦火続く
新書買う沙漠でバッタ追う人の
豊作やサハラの蝗害憂いつつ
核の脅し凍てつく北の地も風も
氷上に黄石とどまり銅メダル
ガザの夏殺し殺され幾世紀
ガザの夏チウネ・オスカー何想う
ガザの夏賢者預言者何想う
ガザの夏大国の責免れず
ガザの夏届かぬ薬・食・コトバ
ガザの夏原理主義者はどこにでも
【ネタバレまたは自分用の備忘録】
「雑草という草(植物)はない」という言葉は私も好きですが、ここではわざと使っています。
石炭紀というのは古生代の地質時代のひとつで、その頃に発達したシダ類などの森林が二酸化炭素を吸収し、地球の二酸化炭素濃度を大幅に下げたと考えられています。石炭はこれらの植物の化石のようなもので、たとえば石炭火力発電はこの「遺産」を使い、二酸化炭素を大気中に解き放つ代物ともいえます。ですが、近年の猛暑は、冷房を強くしないと耐えきれないものでもあります。
ハリケーンは北太平洋の東側や大西洋で一定の基準以上に発達した熱帯低気圧のことですが、台風に準じて秋の季語として扱ってよいか、多少の迷いはあります。ただ、北西太平洋で発生した台風が東経180度(西経180度でもありますが)を越えて東に進むとハリケーンとなりますし、発生時期も台風とそれほどは違わないようなので、勝手に秋扱いにしています。
夕焼けの果ての大陸は、日本の西のユーラシア大陸、戦火は黒海北側と地中海東側のことです。
沙漠でバッタ追う人は、前野ウルド浩太郎氏。現地のサバクトビバッタは年中発生しているのでしょうが、一応は「バッタは秋の季語」という日本の慣習でいきます。ただし、次の蝗害(こうがい=密な群れになると相変異というものを起こし、翅が長くなって広範囲の植物を食い荒らすバッタ類の害)は(日本の)四季には関係ないということで、豊作(秋)が季語です。
チウネは杉原千畝、オスカーはオスカー・シンドラー、いずれも第二次世界大戦中に多くのユダヤ人の命を救ったことで知られています。
まあ、このグループは、俳句とは言い難いものもけっこう入っています。